国家財政は破綻寸前 その3 国債の価格と金利の関係
前回は日本の国債残高が1000兆円になっていること、現在日銀が無理やり国債金利を抑えているので利払い費が9兆円で済んでいるが、これが2%に上がっただけで20兆円増加し、他の支出を削減せざるを得ないので国民はさらなる窮乏を強いられるという話をしました。
今回は日銀の金利コントロールはどう行われるのかを検証することでゼロ金利を今後とも継続できるのかを見ていこうと思います。
1980年代まで、まだ資本の移動が規制されていた時代には金利はそれぞれの国の中央銀行が決める公定歩合(日本でいえば日銀が市中銀行にお金を貸し出すときの短期金利)で調節されていました。
資本の自由化が始まってから金利は国債の金利に連動するようになりました。
この事情は先進各国とも同じようです。
現在日銀は10年物国債の金利をプラスマイナス0.2%としています。(ただしマイナス金利はあり得ない)日銀の総裁がこの金利を口にすることで金利がこの範囲に収まるということではありません。
国債には発行市場と流通市場があります。発行市場で財務省から発行された国債は市中銀行が買い取ります。そのあと銀行は手持ちの国債を日銀に売り払います。2013年4月から始まった日銀の異次元金融緩和は当初年60兆円、その後年80兆円の国債を市中銀行から買い取ることで金をばらまきました。
流通市場では国債が大量に売り買いされています。現物だけでなく先物市場もあり空売りもできます(詳細は別途書きます)。国債の価格は売りと買いの価格が一致したところで決まります。買いが多ければ国債の価格は上がり、逆に売りが上回れば価格は下がります。その原理は株価と同じです。
この時大事なのは価格が上がると金利は下がり、価格が下がると金利が上がることです。
分かりやすくするためごく単純な例で説明します。
発行額面:100万円
発行金利:1%
残存期間:10年
この国債が値下がりし90万円で入手できたとする。
10年間の金利は[100万円X1%X10+10万円]=20万円
10年後デフォルトがない限り100万円で償還されるので差額10万も金利とみなすことができる。
よって20万円÷90万円÷10年=0.022
即ち流通価格の10%の下落で金利が1%から2.2%に上昇したことになる。
逆に言えば金利1.2%の上昇で国債の価値が10%下落したことになる。
この国債の価格と金利の関係は超重要である。国債はいくらでも発行できる、また日銀は国債をいくら引き受けても構わないという言説が巷にあふれているが、金利の上昇と価格の下落が見えていないか、あるいはわかっていて国民をだましているかのどちらかでしょう。
日銀は2013年4月の異次元緩和の発動以後、一貫して市場で銀行や機関投資家からの国債を買い上げることで金利を2012年の1%から0%まで引き下げてきた。その結果日銀は約450兆円の国債を保有するに至っています。
アベノミクスという言葉が最近聞かれなくなっていますが、実は日銀の国債買いは減少しています。2016年8月~17年7月の1年間を見ると40兆円となっています。このことについてマスコミは言わない。日銀のバランスシートを見ていれば素人でもわかることです。年80兆円買うという黒田総裁のバズーカ砲がいつの間にやら縮小に向かっているのです。これはいよいよ金利のコントロールが効かなくなってきたことの前触れかも知れません。
次回は国債の金利が上昇すると何が起きるのかを検証したいと思います。
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